翻訳者はつらいよ

翻訳者とは、フリーランサーです。フリーターではないけれど、何の保障もありません。しかし「役者と乞食(この言葉、いいのでしょうか?)は三日やったらやめられない」という言葉がありますが、まさに、「訳者と乞食は三日やったらやめられない」という職業です。自分のつむぎだす言葉によって、本来言葉の通じ合わなかった人と人とが理解し合い、交流できるようになる。この感動は、何にも換え難いものです。そして、仕事が忙しい時に限って、体調が悪くなる、仕事が重なる、子供が病気する・・・ああ、何と悩ましい、しかし抗いがたい魅力のある職業なのです。ナショナリズムが徐々に過激化して来そうな昨今、言葉をもって人を攻撃するのではなく、言葉をもって友好交流を深めていけるよう、ただ祈る毎日です。

翻訳者になるには1.

以前、私の尊敬する通訳者の先生が言っておられました。
「第二言語は母語以上のレベルには達し得ない。つまり、翻訳・通訳を仕事にしたいのならば、まず日本語を磨くべし」
翻訳業を営んでおりますと、その言葉の意味がしみじみと実感できます。ちまたでは幼児から英語教育をさせるママさんたちが溢れているようですが、まずは美しい日本語を使えるようにならないと、語学のプロフェッショナルどころか、バイリンガルには到底なれそうにないのでは??そして日本語を磨くためにはどうすればいいのでしょう。これには小さいうちより美しい日本語を学ばせる、つまり読書するのが一番である、と私自身の経験から思います。これはもちろん、翻訳者になりたい方に伝えたいことですね。第二言語は学習と経験でなんとかなるかもしれないけれど、母語のセンスがないと仕事にはつながらないと感じています。 つづく

翻訳者になるには2.

「言葉」を伝えること。それは「心」「思い」を伝えることに他なりません。これも昔、通っていた通訳学校の先生(上記の先生とはまた別の人)がおっしゃっていたのですが、
「一つの言葉の裏にあるモヤモヤをもう一つの言葉にすること」
これ、とても良い表現だと思いました。すなわち、外国語そのままを翻訳なり通訳してしまうのではなく、「言葉にならないモヤモヤした思い」まで遡って日本語に置き換えて考えてみる。自分の言葉で、或いは必要な専門用語、日本語らしい形式で。翻訳&通訳ということが、まさに新しい可能性を引き出す文学である、と実感する瞬間ですね。
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by saiko-ch | 2005-08-10 14:52 | 翻訳者のひとりごと